2015年3月16日月曜日

ベトナムにおける「労働力輸出」産業の実態と問題点(季労248-208)

 季刊労働法の最新号(こちら)に標記の論文が掲載されています。北大大学院の兄弟子である斎藤善久准教授が執筆したものですが、一読して鳥肌が立ちました。これは大変な労力と研鑽を重ねて書かれた極めて価値の高い論文です。

 本論考はベトナムからの外国人技能実習の送り出しと受け入れ・失踪をめぐる法的・実務上の課題を十分に明らかにした学術論文ですが、その充実した内容を十二分に担保するのが、同門として良く知る「斎藤さんの凄み」です。

 例えば「筆者は・・ハノイ市郊外の複数の送り出し機関でボランティアの日本語講師等として潜入調査を行い・・・それぞれ実情を聴取した。」などの記述を読むと、斎藤さんにしか出来ない仕事と思え、絶句するほかありません。

 この実地・裏付け調査があるからこそ、送り出し機関・受け入れ機関そして失踪後の技能実習生の実相が説得力をもって伝わってくるものです。

 今後、本小論は外国人労働者問題を論じる際(特に母国での送り出し機関及び技能実習生の実情)、必読の文献になろうかと思われますが、一読者として、斎藤さんには、ぜひベトナムの技能実習生の実態と法的・制度的課題等をさらに思う存分書いて頂きたいものです。新書形式(岩波書店さん等)で、出してもらえないものでしょうかね。

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