2011年12月15日木曜日

有期雇用法制の動向(利用可能期間制限案 平成23.12.14労政審段階)

昨日(平成23年12月14日)、労働政策審議会労働条件分科会を傍聴しておりましたが、同会に「有期労働契約の在り方に関する論点(改訂」が示されました(こちら)。労使ともに同ペーパーに対する評価を留保しており、ここに記載されていることが審議会報告書、さらには法案化されるのか未知数です。その点を留保しつつも、同ペーパーには幾つか大変注目すべき記述が見られますが、特に重要と思われるのが、以下の利用可能期間制限に関する提案です。

 有期労働契約が一定年数を超えて反復更新された場合には、労働者からの申出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(転換に際し期間の定めを除く労働条件は従前と同ーとする。)を導入することについては、雇用の安定や有期労働契約の濫用的利用の抑制という観点から、評価できるのではないか。
この場合、次のような論点について、更に検討を深める必要があるのではないか。
①利用可能期間は何年とするか。
②同ーの労働者と無期転換の対象とならない有期労働契約を再度締結することができるようになるまでの期間(クーリング期間)を設けるとすれば、どのくらいの期間とするか。
③適用除外を設けることとするか。
④利用可能期間到達前の雇止めの懸念について、どのように対応するか。
⑤制度導入後に締結又は更新された有期労働契約から、利用可能期間の算定を行うことでよいか。

 研究会報告の段階から、有期雇用の不安定への対応として、更新回数・利用可能期間に対する制限が対応策の一つとして提示されていましたが、その一方、利用可能期間満了直前の雇い止め・雇用不安の懸念も強く指摘されてきました。そのため私見では、今回の報告書には回数・利用可能期間制限は盛り込まれず、雇い止め法理の明文化に留まる(なお策定されるであろうガイドラインに注意すべき)と観測していましたが、厚労省の事務方は、かなり踏み込んだ素案の方向性を示してきたものです。

 案の上、経団連は同方向性に対して、一様に強い抵抗感を示しており、最終報告書に残るかどうかは未知数です(残るとしても、両論併記型になるのでしょうね)。またこの方向性を示すとしても、①〜⑤の具体的数字等を如何に設定するか。この点については、労働側も産業ごとの事情もあり、一枚岩ではないようです。時間的にも2週間を切っており、数字の結論を示すことは容易ではなく、「政省令に委任」「同決定に際して、労政審で再度検討する」といったところが、厚労省側が考えそうな着地点でしょうか。

 なお数字として①について、7年〜10年あるいは3年〜5年などが非公式の形で飛び交っておりました。また②については、3ヶ月あるいは雇用保険の給付日数などの数字も上がっておりましたが、いずれにしても今後の課題と思われます。事務方は昨日の段階では「黙して語らず」であり、労使双方の意向を今なお探っている様子です。


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