2011年2月13日日曜日

久々に映画のことなどーしあわせの雨傘

 確定申告の準備に少々うんざりしてきましたので、最近見た映画の感想めいたものを少しばかり。

しあわせの雨傘(こちら

 フランソワ・オゾンの新作を札幌シアター・キノ(こちら)で鑑賞。映画の魔術師ともいえる切れ味、おもしろさ。万人にお勧めできる作品です。映画のストーリーは上記HPをご覧頂くとして、面白いのが70年代フランスのストライキが物語の重要なエピソードとして取り上げられている点。

 オゾンが取り扱っているだけに、映画的魔術がふんだんに散りばめられているものではありますが、ストライキが街全体での騒ぎとなる事と市長等が介入してくる点などは、フランスのストライキそのものではないかと感じた次第。

 そのような難しい話は抜きにして、カトリーヌ・ドヌーブ演じる「奥様」の活躍にはたまらないものがあります。正月早々、古巣シアターキノでオゾンの映画的魔術に魅せられる時間を持てたことは誠に幸福でした。

2011年2月8日火曜日

派遣法案は予算関連法案成立のための約束手形?

 今朝の朝日新聞の報道(こちら)に以下の記事が掲載されています。

首相は7日、首相官邸で記者団に「社民党、国民新党とともに(2009年の)3党連立合意に盛り込んだ政策を実現したい」と語った。社民党が求める労働者派遣法の抜本改正と、国民新党がこだわる郵政改革法案を衆院「3分の2」に相当する318議席以上の賛成を得て再可決、成立させる姿勢を示すことで、予算関連法案への賛成を取り付けたい考えだ。


 派遣法案が予算関連法案成立のために、いわば約束手形として振り出される(「振り出され続けている」ともいえる)との事ですが、問題はその手形の支払い期日(成立日)です(これだけでは「お金」(議席)を貸していただけないようですが)。外野席から見ると、債権者・債務者ともに信頼関係が著しく失われているため、支払い期日を先に延ばすのは一般に難しいようにも思えます。
 年度末(さすがにないと思いますが)もしくは来年度当初の派遣法案強行採決があるかどうかが、当面気になるところです。

 それにしましても、労働者派遣法案そのものがきちんと顧みられず、名実ともに「政争の具」として扱われ続けている状況を憂慮するものです。先生方には法律の「製造責任」があることをお忘れなく(アメリカの立法(タフト・ハートレー法など)のように、法律に政治家の名前を付ければ、もう少しは製造責任を考えていただけるようにも思いますが如何に。派遣法であれば「福島・亀井・管」法でしょうか(笑))。

2011年2月4日金曜日

未払賃金立替払い制度の詐欺事件について

 先日、未払い賃金制度の詐欺事件が大きく報じられていました(読売新聞報はこちら)。

 会社の事業実態がなく、雇用する従業員、未払い賃金債権などあろうはずがないにもかかわらず、破産手続きを取った上で未払い賃金立替払い制度を詐取したとの事です。

 当然に許されるものではありませんが、そもそも国がそんな「古典的な」詐欺に何故引っかかるのか疑問に感じるところです。先の報道では、その疑問に対し、以下のように報じています。

同制度では、破産管財人などが作る未払い賃金の証明書や賃金台帳、元従業員の申請書などをもとに同機構が審査するが、担当職員は8人。1日の処理件数は数十件に上るといい、職員は「書類上不備がなければ通さないと、とても処理しきれない」と話している。

 
 未払賃金立替払いの処理を行う独法自体の審査が甘いかのように読めなくもない記事ですが、ここでの問題はむしろ「破産管財人」または「労基署」の破産・事実上の倒産・未払い賃金の認定にあります。今回の事件は法律上の破産手続きを取り、破産管財人の選任を受けた事案のようですが、同管財人が何故、「事業実態」を認めたのか、また従業員とその未払い賃金を確認したのか、その点こそが大きな問題であると思います。おそらくは同事案の破産手続き処理が形式的な「書面」審査で通ってしまったという事でしょうが、労基署での処理も含めて、再発防止対策がどのように講じられるかに注目するところです。

 ところで現政権の「事業仕分け」やらで未払い賃金立替払い制度の存亡が危ぶまれておりましたが、その後どうなったのでしょうか。この事件が変に使われないか、その点を少し懸念していますが、制度の必要性自体は異論ないところと思います(労使関係者間では)。

2011年2月3日木曜日

労政時報セミナー無事終了

 昨日、労政時報セミナーでの講演が無事終了いたしました。100名近くの企業人事・法務ご担当者様等にご参加頂き、大変に盛況でした。誠に有り難い次第です(案内はこちら)。
 パワーハラスメント問題は「パワハラ」の定義自体が難しい上に、損害賠償、労災、懲戒および休職・復職など様々な法的トラブルとして争われることが多いため、なかなかに難問です。そのためか、いざ社内で同トラブルが発生した場合、人事担当者等が迷路に迷いこんでしまうことが多いとの印象を持っておりました。そこで昨日の講演では、同問題対応への道先案内になるよう心がけましたが、如何だったでしょうか。3時間あまりの講演でしたが、お越しいただいた人事・法務ご担当者様等に少しでも同問題の「土地勘」を掴んでいただけたとすれば、講師として誠に幸いです。