2010年11月30日火曜日

労働保険加入状況のインターネット公開について

 12月1日正午から厚労省HP上で「労働保険の適用事業場検索」サービスがスタートするとの事(こちら)。同サービスがスタートすると、従業員あるいはそれ以外の第三者も、自由にネットで事業場の労働保険加入状況が確認できるようになるようです。

 厚労省は同新制度について、次の期待を示しています。

労働保険の加入状況を誰でも簡単にチェックできるようにすることで、労働保険未加入の事業主に対し、加入手続を促すことにつながると期待しています。

 行政規制の新たな手法といえるかもしれません。注目すべき動きですが、今後さらに同手法が広がる可能性がないか(例えば36協定の届け出の有無等どうか)、また同行政手法は法的に問題が生じ得ないのか(根拠法は必要ないのか、事業主から見て保護に値する情報といえないのかどうか、同公開によって損害を被った場合の問題など(行政側の不備が原因))。色々と検討すべき課題も多いように思われます。

2010年11月16日火曜日

宅直勤務の労働時間性否定(県立奈良病院事件高裁判決)

 県立奈良病院事件の大阪高裁判決が出されたようです(こちら)。 以下産経新聞HPより

病院の当直勤務は割増賃金が支払われる「時間外労働」に当たる、として、県立奈良病院の産科医2人が県に相当額の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は16日、計約1500万円の支払いを命じた一審奈良地裁判決と同様に「当直は労働時間」と認定。双方の控訴を棄却した。

 産科医側の弁護士は「高裁では初めての判断。同様の問題は全国にあり、影響は大きい。労働環境の是正には医師を増やすしかなく、国レベルでの対応が必要だ」と話している。

 判決理由で紙浦健二裁判長は、分娩の6割以上が当直時間帯だったことや、通常勤務と合わせて連続56時間勤務になることもあった過酷な労働実態に触れ「入院患者の正常分娩や手術を含む異常分娩への対処など、当直医に要請されるのは通常業務そのもので、労働基準法上の労働時間と言うべきだ」と指摘。

 また、当直医は勤務を途中で離れられないことから「(実働時間以外も含む)当直勤務全体について割増賃金を支払う義務がある」とした。

 呼び出しに備えて自宅などで待機する「宅直勤務」については、一審に続き労働時間と認めなかったが、紙浦裁判長は「負担が過重になっている疑いもある」と言及し、県知事らに実情調査と体制の見直しを促した。

 判決によると、奈良病院の産婦人科では2004~05年、医師5人のうち1人が交代で夜間や休日の当直勤務を担当。産科医2人は2年間で各約210回、当直勤務に就いた。分娩に立ち会うことも多く、十
分な睡眠時間が取りづらかったが、一回につき2万円の手当が支給されるだけで、時間外労働の割増賃金は支払われていなかった。

 研究会で同地裁判決を議論した際、最も白熱したのが宅直勤務の「労働時間性」でした。この点について1審判決がは必ずしも説得的な理由付けを示していないように感じておりますので、高裁がどのような論旨で、労働時間性を否定したのかが気になります。

2010年11月12日金曜日

労務事情トーク&トーク執筆について

 「労務事情」11月1日号(産労総合研究所)から5回連載で、巻頭コラム「トーク&トーク」を執筆しております。

 11月1日号が「パワハラ問題」(こちら)、同15日号は「事業場外みなし労働」を取り上げました。労務事情編集部より掲載誌をお送りいただき、ありがとうございました。

 本日12月1日号の原稿戻しを致しました。あと残り2本。コラムの連載はなかなか大変ですね(^^;)。読者の皆様に少しでもお役に立つところがあれば誠に幸いです。

2010年11月1日月曜日

11月三鷹労働法セミナーのご案内

 あっという間に11月を迎えました。近頃は朝方、必ず暖房を入れるようになりました。今年の夏の暑さが嘘のようです(笑)。

 今月も定例の三鷹労働法セミナーを開催いたします。今月は諸般の事情から、上旬の11月11日(木)18時から「精神障害の労災認定をめぐる最新動向」を取り上げます(詳細はこちら)。ご利用頂ければ幸いです。