2010年5月18日火曜日

改正独占禁止法が人事労務に与える影響

 先ほどYAHOO-NEWS(毎日新聞配信)で「<地位乱用>岡山のスーパーを初の立ち入り検査 公取委」が報じられておりました(こちら)。

 取引上の立場が弱い納入業者に対し不当な値引きや従業員を店舗に派遣させるなどしていたとして、公正取引委員会は18日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで岡山市のスーパー「山陽マルナカ」を立ち入り検査した。1月施行の改正独禁法で「優越的地位の乱用」も課徴金の適用対象となり、施行後この容疑での立ち入り検査は初めて。

 関係者によると、立ち入り先は山陽マルナカ本社や店舗、納入業者など二十数カ所。納入業者に不当に値下げや返品を強いたり、従業員の派遣や協賛金を求めていた疑いが持たれている。

 同社は岡山、兵庫、広島県、大阪府に計71店舗を展開し、年商約1230億円。04年にも納入業者に不当な値引きや返品をしたなどとして公取委から排除勧告を受けている。

 1月施行の改正独禁法では、厳罰化を図るため違法行為に対する課徴金の適用範囲が広がり、不当廉売や不当な手段を用いて競争相手を市場から排除する「排除型私的独占」なども対象となった。「優越的地位の乱用」の課徴金額は、乱用行為を受けた事業者と違反行為者の取引額の1%。

 山陽マルナカは「公取委から立ち入りを受けたのは事実で、調査には全面的に協力する」と話している。【桐野耕一】


 改正独占禁止法が本年1月から施行されています(公正取引委員会の解説資料はこちら)。
一般には経済法と労働法は全く縁遠い法律のように思われるところですが、近年、様相が変わってきました。特に関わりが深くなるのが、いわゆる偽装請負問題です。人事労務部門は同問題については、もっぱら派遣請負区分告示(37号告示)の観点から構内請負等と発注者との関係を点検する事になりますが、法務部門との打ち合わせの際、間違いなく問題となるのが、独占禁止法、下請法との関係性です。

 先のニュースでも、納入業者が自社の社員をスーパーに「派遣した」と報じられておりますが、恐らくは派遣法に基づく適正な派遣ではなく、形式上も業務委託の形であろうかと思われます。従来はこれが「偽装請負」にあたるか否かが問題視されてきましたが、先の報道では、これが更に改正独占禁止法が規制する「排除型私的独占」に該当し、取引額の1㌫もの課徴金が課される可能性があるとの事。企業実務的には相当にインパクトある処分になろうかと思われます。

 これからの人事労務は労働法のみならず、独占禁止法、下請法さらには商法までも見据えて対応策を検討する要があるようです。なかなか骨がおれます(笑)。

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