2009年8月20日木曜日

男性の育児休業取得率10%(2017年)は達成困難な数値目標か


 先日、新聞各紙で育児休業取得状況(厚労省発表 雇用均等基本調査)が報道されていました(nikkei news)。
 報道では育児休業取得率に焦点があてられ、中でも男性の取得率が低調である上(1.23%)、前年比で減少したことが、大きく報じられておりました。
 また取得期間の状況についても、女性の育児休業取得が10カ月から12カ月が3割近くを占める一方、男性は1ヵ月未満が大半である旨、報じられております。

 実は、男性の育児休業取得率を2017年までに「10%」に引き上げることが、政府のWLB行動指針の数値目標(こちら)で明記されておりますし、企業によっては次世代行動計画を策定し、ここに男性の取得率の数値目標を明記した例も多いように思われます。

 上記の調査結果からみると、数値目標達成が絶望的に見えるところですが、実は男性の育児休業取得「率」を向上させるヒントが、この調査結果に隠されているようにも思われます。それは取得期間です。前述のとおり、男性の取得日数は1ヵ月未満が大半を占めています。

 恐らく、この中には、妻が出産した直後の産後休暇中(産後8週間(労基法65条))に、夫が育児休業を取得したケースが相当程度含まれているように思われます。本ブログでも前述したとおり(こちら)、これは労使協定で、専業主婦(夫)の配偶者がいる労働者を制度の適用除外と定めた場合においても、妻の産後休暇中は育児休業を取得可能です。
 私の知る限りでは、このような取得例はあまり見聞きしておりませんでしたが、調査結果を見ると、まだ数は少ないとはいえ、上手に男性が育児休業を取得されている例があるのだなと感心した次第です。たしかに、妻が出産してから退院まで、そして生活が落ち着くまでは、いかに役立たずな旦那(私のことです)とはいえ、買い物・洗濯・掃除など少しは役に立つこともあるでしょう(笑)。また、その間(産後8週間内)、雇用保険からの育児休業給付があれば、会社からの補てんがなくても(あればなお良いですが)、1~2カ月程度は十分にやっていけるものと思われます。

 また先般からお伝えしているとおり、改正育児介護休業法が成立しました(こちら)。施行は来年夏頃を予定しているようですが、同改正では、更に男性の子育てができる働き方の実現を促すべく以下の制度等が新設されました。

・父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2カ月(現行1歳)までの間に、1年間育児休業を取得可能とする(パパ・ママ育休プラス)。
・父親が出産後8週間以内で育児休業を取得した場合、再度、育児休業を取得可能とする。
・配偶者が専業主婦(夫)であれば育児休業の取得不可とすることができる制度を廃止する。
(これにあわせて、育児休業給付についても所要の改正)

 お父さんの中には、子が1歳になるまで何があるか分からないので、産後に育児休業を使うのはやめておこうと権利行使を控えていた方もいるやもしれません。また配偶者が専業主婦であるため、そもそも育児休業は使えないと誤解していた方も多いと思います(実はわたしめも・・)。今回の改正は、これらの障壁をなくすものといえ、上手に労使双方が利用することによって、男性の育児休業取得率が急激に増加する可能性を秘めていると思われます(1~2カ月の取得の限りにおいて、前言撤回)。

 そのように考えていくと、政府のWLB行動指針の目標数値(男性の育児休業取得率)は、十分に達成できるのではないでしょうか。もちろん、男性の育児休業期間についても、産後1~2カ月に限らず、今回の改正を活かして、更に上手く活用されるべきでしょう。

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