2009年3月30日月曜日

改正雇用保険法成立に伴う企業実務上の課題

 先週末(3月27日)、参議院本会議で改正雇用保険法が可決成立しました。同法の施行は明日3月31日となります(nikkei-netはこちら)。通常、同改正法の施行は翌年度初日にあたる4月1日とされることが通例です。内閣提出法案もその通例に従い策定され、国会に提出されましたが、非正規雇用に対する近年の雇用不安の高まりを受けて、衆議院で次の点が修正され、衆参可決成立に至ったものです。(内閣提出法案についてはこちら
衆議院修正箇所 
・基本手当の支給に関する暫定措置等について、離職の日等が平成二十一年三月三十一日から平成二十四年三月三十一日までの間である受給資格者をその対象とすること
・施行期日を平成二十一年四月一日から平成二十一年三月三十一日に改めること等


 今回の改正点については厚労省資料のこちらが要領よくまとめています。使用者側から見ると、まず雇用保険料率の引き下げ(0.4%引き下げ)が若干の朗報といえるかもしれません。また育児休業給付の支給水準維持と休業・復職給付の一括支給も、実務的に喜ばれる改正点と思われます。

 これに対し、社会的に注目されているのは、非正規労働者に対するセーフティネット拡充の点でしょう。企業実務の視点で見ると、特に雇用保険の適用基準の変更が気になるとことと思われます。今回の改正では、有期雇用契約社員等に対する雇用保険適用の取扱を以下のとおり変更することとしています。
(従前)週20時間以上勤務・反復継続し就労している者(1年以上引き続き雇用されることが見込まれるもの) (審議会資料p4以下参照)
(変更後)週20時間以上勤務・反復継続し就労している者(6か月以上引き続き雇用されることが見込まれるもの)
 
 明日からの施行を前に、週20時間以上でたとえば6か月以上の有期契約社員で雇用保険未加入の者への取扱をどうすべきか。あるいは明日付で雇止めを行う週20時間以上で1年契約社員(雇用保険未加入)が雇用保険の遡及適用と受給手続きの督促がなされた場合、企業人事としてどのように対応すべきか、不透明な点が多々あるように思われます。ここでは問題の指摘にとどめ、次回改めて取り上げることとします。

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