2008年11月8日土曜日

変更解約告知に実務的意義があるか?

 労働法学の一つの潮流として、人事労務管理の個別化への対応があるように思われます。たしかに周りを見渡してみても、一定の専門知識・技能を有するものが中途採用され、賃金などの労働条件が個別決定される例は年々、増加しているのではないでしょうか。同社員については、従来のような就業規則をもって労働条件を集合・画一決定するものではなく、個別労働契約によって決定される例が多いものです。
 仮に会社の経営環境変化に伴い、賃金等の労働条件引き下げを行いたい場合、上記中途社員の労働条件について、どのような変更方法が考えられるところでしょうか。就業規則変更では不可とすれば、個別に変更同意を取るほかないことになります。では、この変更同意が取れない場合については、どのような対応が考えられるのか。
 その場合は「変更解約告知」が一つの選択肢となるか否か、最近とても関心をもって勉強しておりました。変更解約告知の定義は難しいのですが、さしあたりJILのデータベース情報が大変、参考になります。

 しかしながら、実務において、どの程度そのニーズがあるのか、よく分からないところがあります。そもそも、中途採用社員の賃金制度に成果主義賃金制度等を導入しているのであれば、本人成績に連動した賃金支給で足りることとなり、何も労働条件の変更自体が不用です(なお本人が成績維持している場合は、賃金制度設計によるが、通常は従前どおりの賃金を支給する他なし)。また有期雇用契約であれば、期間終了まで従前どおり賃金支給するとしても、それ以降は期間満了による雇止めが可能になります(有期契約が反復更新、あるいは雇用継続を期待させる言動等がみられる場合は別)。
 実際のところ、変更解約告知がどの程度、実務的に使われる可能性があるのかどうか。今現在、私が抱えている大きな問題関心の一つです。
 

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